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サンチー遺跡の解説
世界に数多くある仏教遺跡の中で、最も釈迦の事を今日に伝える遺跡は、サンチーの仏教遺跡かもしれません。遺跡の造営が開始されたのは釈迦の没後200年のアシカ王の時代、今日に残る見事な彫刻が完成したのはそのおよそ300年後のサータヴァーハナ朝の時代とされます。釈迦が悟りをひらき、布教をされた同じインドの大地で、時の経過きわめておおらかな時代、サンチーの遺跡はまさに釈迦そのものを間近にみつめ石に刻み、現在に伝えます。とはいえ、この時代はガンダーラやマトゥーラで仏像制作が開始される以前の時代で、釈迦の姿を直接石に刻む事はされませんでした。これは、あまりにも崇高な釈迦を象徴化する事への畏怖の念があったからだとされます。そのため、レリーフにある釈迦の姿は、法輪・菩提樹・法座・傘蓋(日傘)・ストゥーパ(釈迦の遺骨を埋葬した施設)・仏足石(釈迦の足跡)等で表現されています。この事から遺跡に残る彫刻群は、ブッダなき仏伝図ともよばれます。特に貴重な彫刻は、第1ストゥーパの周りを囲む欄楯(ランジュン)の四方にあるトーラナ(門塔)に残ります。サンチーはまさに訪れる者を、時空を超え釈迦が正覚を得て布教した2500年前のインドの世界にいざないます。 |
第1ストゥーパにある東西南北の4つのトーラナには、2本の柱と柱の上部に渡された3本の梁に仏教をテーマにした様々な彫刻が残ります。これから、それぞれの彫刻について解説いたします。解説の順番は梁の正面(ストゥーパの反対側)→梁の裏側(ストゥパーの側)。柱については、右側柱の正面→内側(正面から見た左側)→外側(正面から見た右側)、左側柱の正面→内側(正面から見た右側)→外側(正面から見た左側)の順で進めてまいります。 |
第1ストゥーパ・東のトーラナ(塔門)
外側の梁上段 【過去七仏への礼拝(菩提樹とストゥーパの供養)】
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外側の梁下段下 【樹下のヤクシー像】
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内側の梁上段 【過去七仏への礼拝(菩提樹供養)】
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右柱正面(全面) 【俗界の六天(六欲天)】
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左柱正面(上から1段目) 意味は不明 左柱正面(上から4段目) 【ラージギール(王舎城)の光景】 |
第1ストゥーパ・南のトーラナ(塔門)
外側の梁上段 【豊穣と吉祥の神ラクシュミとこれに水をかける2頭の象】 |
内側の梁上段 【過去七仏への礼拝(菩提樹とストゥーパの供養)】 |
(右柱には作品がありません) |
左柱正面(上から1段目)【初転法輪】 |
第1ストゥーパ・西のトーラナ(塔門)
外側の梁上段 【過去七仏への礼拝(菩提樹とストゥーパの供養)】
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内側の梁上段 【舎利を城に持ち帰るマッラ族の人】 |
右柱正面(上から1段目)【猿王マハカピの物語】 右柱正面(上から2段目)【菩提樹を礼拝する人々】 |
左柱正面 【天上界で幸せに暮らす5組の夫婦】 左柱内面(上から2段目) 【ムチリンダ竜王】 |
第1ストゥーパ・北のトーラナ(塔門)
外側の梁上段 【過去七仏への礼拝(菩提樹とストゥーパの供養)】 |
内側の梁上段 【象達の菩提樹礼拝 または 象王チャダンタ本生】 |
右柱正面(上から1段目)【三道宝階】 右柱内面(上から1段目)【人々のストゥーパー礼拝】
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左柱正面(上から1段目)【菩提樹礼拝】 |
第2ストゥーパ
第1ストゥーパと第3ストゥーパが隣接して丘の頂上付近にあるのに対し、第2ストゥーパは第1ストゥーパの西側約500メートル、巨大な僧院遺構の横を通り下った丘の中腹にあります。第1ストゥーパが完成したた時代より100年余り古いBC2世紀末頃の作品といわれます。大きさは3つのストゥーパーの中で最も小さく、トーラナや頂上の傘蓋はありません。ストゥーパを囲む欄楯(玉垣)が残り、欄楯には多くの彫刻が残ります。欄楯に彫刻が施されるのは同じ時代のバールフットのストゥーパと同じですが、テーマはバールフットでは、仏伝図や本生(ホンジョウ・釈迦の前世の物語)などの仏教的要素が多く含まれるのに対し、サンチー第2ストゥーパでは蓮華模様、象、牛、鹿、ナーガ(龍神・蛇神)など自然の事象が中心になります。また彫刻は彫りが浅く平面的 なものとなっています。第2ストゥーパはイギリス人考古学者カニンガムにより発掘調査が行われ、凍石製の小舎利容器を納める石製の舎利箱が検出され、これらにはアショカ王の時代の高僧の名が刻まれていました。
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第3ストゥーパ
第3ストゥーパと第1ストゥーパのすぐ隣にあります。ストゥーパ中腹の遶道(ニョウドウ)とこれに付随する欄楯、トーラナは南の1つのみが残ります。ストゥーパーの本体はシュンガ王朝期に、南のトーラナはサータヴァーハナ朝期につくられたとものと考えられています。ここも発掘調査が行われており、2つの石製舎利容器が発見され、それぞれに釈迦の弟子である舎利弗(シャリホツ)と大目建連の銘が刻まれていました。
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